三嶋大社・柿田川湧水・修善寺温泉で癒しと再出発をめぐる2泊3日プラン
■冒頭紹介|癒しと再起動の静岡へ
関東からのアクセスも良く、豊かな自然と歴史ある街並み、心をゆるめてくれる温泉文化が調和する静岡県。東京から電車や車で数時間という距離にもかかわらず、訪れるたびに「遠くに来た」ような心の解放感がある──それが静岡の魅力です。
今回の旅のテーマは「心を整え、再起動すること」。筆者と彼女のふたり旅スタイルで、訪れたのは伊豆の入り口・三島、湧き水の楽園・柿田川、そして名湯・修善寺。いずれも観光地というより、“心に寄り添ってくれる場所”を選びました。
「最近なんだか、心がざわざわしていて・・・」と彼女が漏らしたひと言。それをきっかけに出発した今回の旅は、まさに自分たちにとって必要な“人生再起動”のきっかけになったのです。
この記事では、観光のポイントはもちろん、感情の揺れや思考の変化なども交えて、旅が与えてくれた「癒し」と「気づき」をまるごとシェアしていきます。
■はじめに|深呼吸できる場所を探して
仕事に追われる日々。何かとつながりすぎるSNSの世界。見えない疲労感が、じわじわと彼女を包んでいたようでした。
「最近ずっと息苦しくて・・・」「深呼吸できる場所、ないかな?」──その言葉に、筆者も自分の心が少し窮屈になっていることに気づかされました。
遠くじゃなくていい。でも、深く癒してくれる場所。自然と触れ合えて、人の温かみを感じられるような土地。そんな場所を探して、思い浮かんだのが静岡県でした。
選んだのは、観光地として華やかすぎず、でも確実に心に残る場所ばかり。今回はその中でも、「三嶋大社」「柿田川湧水群」「修善寺温泉」の3スポットをメインに巡ります。
「整えたい」と思ったときに、ちょうど良い旅先があるという幸せ。静岡は、まさにそんな“距離も気持ちもちょうどいい”場所でした。
■三嶋大社|源頼朝ゆかりの神域で心を鎮める
旅の始まりに訪れたのは、三島の中心にある「三嶋大社」。源頼朝が流罪からの再起を祈願したと伝わる歴史ある神社で、伊豆国一宮として地元でも深い信仰を集めています。
【アクセス】JR三島駅から徒歩約10分
【見どころ】朱塗りの楼門、本殿、舞殿、樹齢1200年の金木犀、白い神馬
【御利益】開運招福・家内安全・厄除け・縁結び
境内に入ると、都市部とはまるで違う、凛とした空気が広がっていました。
筆者と彼女はゆっくりと歩きながら、深く呼吸を整えていきました。本殿前では、彼女が目を閉じて静かに手を合わせ、「お願いじゃなくて、“ありがとう”って気持ちが湧いてくる」と一言。印象に残る時間でした。
特に目を引かれたのは、大きな金木犀の木。秋にはその香りが境内中を包むのだとか。「今度は花の季節にも来たいね」と話しながら、気づけば心も体もほぐれていました。
社務所には、季節限定の御朱印や縁起物もあり、旅の記念にもぴったりです。観光というより、まさに“心を整える場所”としての神社。それが三嶋大社の魅力でした。
■柿田川湧水群|透明な水に心が澄んでいく
三嶋大社の参拝を終えた私たちは、車で15分ほどの場所にある「柿田川湧水群」へ向かいました。ここは日本三大清流の一つで、富士山から流れてくる伏流水が1日に100万トン以上も湧き出す、国内でも希少な水源地です。
【アクセス】駐車場あり(入場無料)
【見どころ】第一・第二展望台、湧水の井戸、水辺の遊歩道
【おすすめ時間帯】朝の光が差し込む9〜11時がベスト
第一展望台からのぞくと、地面の下からボコボコと湧き出す青い水。透明すぎて、水があることすら一瞬わからないほど。彼女はしばらく見つめながら、「この水、何年もかけてここまで来たんだよね・・・」と静かに呟きました。
小さな橋や川辺の遊歩道を歩くと、足元の水の音だけが耳に届きます。スマホを置いて、目の前の風景にだけ集中する時間は、まるで瞑想のよう。日常のざわつきが、少しずつ心から洗い流されていくのを感じました。
湧水を使ったカフェも点在しており、旅の休憩スポットとしても優秀。「湧水で淹れたコーヒーって、なんでこんなにすっきりしてるんだろうね」と笑い合ううちに、心も体も自然と整っていきました。
■修善寺温泉|“静けさ”に包まれる夜の湯宿
2日目の午後は、伊豆半島をさらに南下し「修善寺温泉」へ。平安時代から続くこの温泉地は、文豪・夏目漱石や与謝野晶子らにも愛された静かな湯の町です。
【アクセス】伊豆箱根鉄道「修善寺駅」からバスで約10分
【名所】竹林の小径、独鈷の湯、修禅寺、足湯・散策道
【泉質】弱アルカリ性単純泉(神経痛・疲労回復・美肌)
到着して最初に訪れたのは「竹林の小径」。風に揺れる竹の音、足元の小径の感触、ほとんど人の声が聞こえない世界。彼女は「この静けさが、すごく贅沢に感じる」と言いながら、目を細めて歩いていました。
その後、旅館にチェックイン。露天風呂付きの客室で、湯船に浸かりながら山の稜線を眺めるひととき。「忙しい毎日では得られない静寂だね」と、言葉少なに湯の温もりを味わいました。
夕食は部屋食で、伊豆の海鮮と山の恵みが詰まった会席料理。ひとつひとつに旅館の心遣いが感じられ、「ごちそうって、おいしいだけじゃないんだね」と彼女が微笑んでいたのが印象的でした。
夜には修善寺の温泉街をそぞろ歩き。「温泉に入って、ごはん食べて、少し歩く」──それだけのことが、今のふたりには一番のご褒美でした。
■修禅寺と桂川沿いの風情ある町歩き|文学と歴史が息づく静けさ
修善寺温泉の中心にある「修禅寺」は、807年に弘法大師によって創建されたとされる名刹。静かな朝、桂川沿いの道を歩いて訪れると、澄んだ空気と木々の香りに包まれます。
【見どころ】修禅寺本堂、桂川沿いの赤い橋、修善寺橋、指月殿
【所要時間】約1〜1.5時間
修禅寺の本堂は落ち着いた佇まいで、観光客でにぎわう通りからほんの数分とは思えない静寂に包まれています。お参りの後は、桂川にかかる赤い橋を渡りながら、文学碑や足湯スポットをゆっくりめぐるのが定番コース。
彼女は「この川の音だけ聴いていられる時間が贅沢だね」と、ベンチでしばらく目を閉じていました。
修禅寺の裏手には、源頼家(鎌倉幕府第2代将軍)が幽閉され亡くなった歴史に触れられる指月殿もあります。観光というより、「物語に出会う町歩き」。そんな感覚を味わえる場所でした。
■修善寺グルメ|地元の恵みを五感で味わうひととき
温泉街を歩いていると、ほのかに香る湯気とともに漂ってくるのが、伊豆ならではのグルメの香り。食べることも旅の醍醐味のひとつです。
【人気グルメ】
・わさび丼:静岡産の本わさびをすりおろし、炊きたてご飯に乗せるシンプルな逸品
・湯葉丼:修善寺の老舗料理店で提供される上品な味
・温泉まんじゅう:手作りで優しい甘さ、歩きながら食べてもOK
・地酒&地ビール:旅館でも提供される地元ブランドをチェック
彼女とシェアしたわさび丼は、思ったよりもまろやかで「鼻にツンとこない、でもちゃんと辛い」そんな絶妙な味わい。お店の人がすってくれる生わさびの香りに、ふたりで思わずうっとりしました。
旅先の味は、思い出として記憶に残ります。修善寺では“素材を生かす”という言葉の意味を再確認できた気がしました。
■日枝神社と恋の橋めぐり|“願い”をそっと託す場所
修善寺温泉街にある「日枝神社」は、古くからこの地の守り神として親しまれてきた存在。町の静けさに溶け込むようにたたずむその姿に、自然と足が向かいました。
【見どころ】日枝神社、赤い5つの橋、願掛け石、竹林の小径
【所要時間】約1時間
神社の周辺には「恋の橋めぐり」と呼ばれる5つの赤い橋があり、それぞれの橋には“出会い”や“結ばれる”といった願いが込められているそう。彼女と一緒に、ひとつひとつの橋を静かに渡っていきました。
「この橋、ちゃんと願い込めて渡らなきゃね」なんて言いながら、ふたりで手を繋いで橋を渡る。些細なことが特別に感じられるのが、旅の魔法かもしれません。
願いを託すというより、「今を大切にしたい」と思わせてくれる──日枝神社と橋めぐりは、そんな時間を与えてくれる場所でした。
■モデルコース|静岡・癒しの2泊3日再起動プラン
【1日目】
・三島駅に到着 → 徒歩で三嶋大社へ参拝
・境内散策&金木犀の木を見学
・昼食に三島うなぎ or 地元蕎麦店
・午後:柿田川湧水群へ移動(車で約15分)
・湧水見学&自然散策 → 湧水カフェで休憩
・三島市内に1泊(ビジネスホテル or 旅館)
【2日目】
・朝食後、伊豆方面へドライブ(修善寺温泉へ約40分)
・午前中:竹林の小径、修禅寺、桂川沿いを町歩き
・昼:湯葉丼 or わさび丼など修善寺グルメ
・午後:日枝神社&恋の橋めぐり、足湯体験
・温泉宿にチェックイン、露天風呂&夕食でリラックス
【3日目】
・朝:修善寺温泉街の朝散歩&土産購入
・チェックアウト後、余裕があれば伊豆長岡・韮山方面に立ち寄り観光
・昼食後、三島方面へ戻り、帰路へ
このコースは「ゆっくり癒される旅」をテーマに組んでおり、無理なく静岡の魅力を堪能できます。特に、朝と夕方の静けさを味わうプラン構成がおすすめです。
■持ち物アドバイス|癒し旅を快適にするために
この静岡旅は、自然や水辺、温泉などを巡る“リラックス重視”の再起動旅。荷物もその目的に合わせた工夫をしておくと、心地よさが倍増します。
【おすすめの持ち物】
・歩きやすい靴:三嶋大社や修善寺温泉街は石畳や坂道も多く、スニーカー推奨
・羽織れるアウター:朝晩の冷え込みや温泉上がりの移動に便利
・タオル:足湯や急な汗対策に。薄手で速乾性のあるものがベスト
・モバイルバッテリー:写真スポット多数なので充電切れ対策に必須
・小さなバッグ or サコッシュ:貴重品+飲み物を持ち歩くのにちょうど良い
・湧水ボトル:柿田川で採水したい人は、空のボトルを持参しても◎
「癒される旅」とは、自分の快適さを整える旅でもあります。余計なものは持たず、必要なものだけを丁寧に選んで出かける──それだけで旅の質が変わりますよ。
■まとめ|静岡で心を再起動できたこと
この静岡県での2泊3日の旅は、ただ観光名所を巡っただけではありませんでした。
三嶋大社で「整える時間」を、柿田川湧水群で「澄み渡る気持ち」を、修善寺温泉で「心と体が緩む感覚」を──
どの場所も、五感にじんわり響くような優しい時間が流れていました。
特別な体験を求めた旅ではなく、今の自分たちにちょうどいい“静けさ”を感じる旅。
騒がしさから離れ、深呼吸をするような3日間が、彼女との距離も、自分の中のバランスも、そっと整えてくれました。
日々の生活に追われて、気づけば心がザワザワしている──
そんなときこそ、静岡のような「心を整える旅」は、きっと必要なんだと感じたのです。
■しめくくり|「整える旅」は、すぐ近くにある
大きな非日常を求めなくても、深い癒しや気づきはすぐそばにある。
静岡県には、自然も、歴史も、温泉も、あたり前のように存在していて、それが人の心をふっと軽くしてくれる力を持っています。
「またがんばろう」と無理に思わなくても、「またここに戻ってきたい」と思える旅の記憶が、きっと日常のどこかで支えになってくれるはずです。
もし今、ちょっとだけ疲れているなら──
ぜひ、静岡の再起動旅に出てみてください。
その一歩が、あなたの中の“静けさ”を思い出させてくれるはずです。